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パワフルかつシンプルな特許ランドスケープ・テクニック

エリック・リーブス著
アナクア最高技術責任者

Patent Landscaping – 特許のランドスケープ化は往々にして難しい、とても難しい、と考えられています。特許や法律に関する特出した知識、そしてテクニカルな技術を持った人達だけが多くの時間を費やして行えるものだと、多くの人が考えてしまっています。
しかし、実は誰もが知的財産(IP)のエコシステムに慣れ親しみ、無形資産の価値をさらに高める事が出来る事に気づいて欲しいと思います。適切なツールさえあれば、特許のランドスケープは誰でも行う事が出来ます。

習得する・使いこなすことが重要

特許ランドスケープのエキスパートになる事で、現在そして将来の競争ランドスケープ(市場・分野状況)や、“ホワイトスペース(空白・余白のエリア)”ギャップを知る事が可能になり、発明の機会や必要特許の調達・買収、または戦略的パートナーシップの可能性を理解する助けになります。

特許ランドスケープ分析は通常、以下に挙げる項目を理解するために実行します:

  • 企業の現在そして将来重要となる製品や技術に必要な知財に対する理解
  • 主要なポジションにあるテクノロジープレーヤーとそのプレーヤーの知財の強み・強度の特定
  • ホワイトスペースとなる分野の発見、FTO(Freedom-to-operate)または権利化が可能な分野の発見
  • 競合、川上・川下のパートナー、潜在的な買収・統合ターゲット(企業のIPエコシステム)の認識、そしてそれらの知財状況と傾向
  • 知財創出そして/または研究開発に関連するランドスケープの動きの追跡

企業の特許戦略を最適な形で管理するために、最も有効な特許ランドスケープのテクニックを以下に挙げます。

企業-テクノロジー・メトリクス

通常使われるランドスケープ分析の一つであり、マネージャーや分析を行う人がまず初めに考えるべき事の一つとして、組織そしてそのビジネスについて、また自分たちが保有する知的財産、そして競合他社が持つ知的財産-技術分野により通常枝分かれしている-、が挙げられます。そして分析は基本的な質問への回答を導きます:

「組織は今どのようなものを保有していて、それは競合他社と比べた時に強みを持つのか?」

実際に分析を行うか行わないかは別にしても、この様な考えを持ち知財活動を行う事は、市場での競争においてだけでなく、所有する知財の総体性を理解する事に大変役立ちます。
例えば、次の様な総体的な考えを持つ助けになります:

  • 新しい技術開発においてコラボレーションを築ける可能性のある企業は?
  • 新しい技術開発分野で、買収のターゲットとなり得たり、技術支援を得られる可能性のある企業や組織は?-オープンイノベーションのコンセプトを探索しているのでなければ、自社の新しい開発分野においてチャンスを逃している可能性はないか?
  • 川上・川下のサプライチェーン(技術提供サプライチェーン)やクライアント/顧客ニーズ。特に、サプライチェーン・パートナーが研究開発面でどの様な事を行っているかを理解する事は、将来の製品ロードマップ、知財ロードマップに関して重要である。
  • ライセンシング(ライセンス許諾者・ライセンス権者、両方の場合)のパートナーとなり得る企業や組織は?そして全体的な知財エコシステムに対してそのライセンシングがランドスケープ・マップに及ぼす影響は?
  • 自社の知財エコシステムに関連する特許開発・構築の傾向はどの様なものか?(増加しているもの/減少しているもの、新興分野など)

分析を始める際は、適度な規模から始めるべきでしょう。分析を行いたい技術分野の特徴づけをするために基本的なパラメーター(特徴や要因)を特定し、競合他社やパートナーを数社リストアップします。

もし技術カテゴリを明確に示すのが難しくても、それほど心配する必要はありません。
とても簡単に分析を始める方法もあります。自社の特許ポートフォリオ(または分析を行いたい技術の主要分野をカバーしている企業のものでも構いません)を使い、そこから重要な技術をピックアップします。-そしてそれを分析の「種」として使います。

下に示す例は、公式されている特許分類体系の一つを使用した、主な特許開発・構築分野とそれに関連した最も活動的な他社を簡素に素早く確認するのに役立つ手法となります

表を見ることで、分類の傾向をつかむ事も可能です:

技術分野と企業をいくつか特定出来たら(分類またはキーワード、または両者により定義されたもの)、分析の準備が整った事になります。そして分析の深さはそれらが交わる変数(多様度合)に左右されるものとなります。(例:A社は特定したそれら分野でいくつ特許を保有しているか等)。

以下は企業/技術ランドスケープ指標の例となります:

縦軸は企業を示し、横軸は技術カテゴリを示す
数字はその企業が横軸の技術に対して保有する特許の数を示し、黄色くなっている点は20年間の傾向を示す

このような分析を見ることで、製品技術のいくつかの分類において他の企業がどの様な知財活動を行っているかを見る事が出来ます。(上記の例は、携帯・スマートフォン)。

簡単な説明を示しましたが、分析技術そしてそれがどの様に活用できるのかについて、難しいだけのものだと思っていたけれど張り切って取り組める気持ちが湧いたでしょうか。-小さなスケールから始めて、それを反復する、という事をまず試してみて下さい。

アナクアではIPランドスケープをサポートするツール「AcclaimIP Analyst」を提供しています。機能紹介はこちらのリンクからご覧いただけます。