企業経営層が保有特許について知るべき7つの項目

金曜日, 3月 30, 2018
エリック・リーブス著
アナクア最高技術責任者

Erik Reevesデータに囲まれた世界-
情報を吸収し取入れようとする私達の能力を遥かに超えて、私たちの周りにはデータがあふれかえっています。

データ、分析手法、効果的なメトリクスが完全な形で交じり合い、それらを活用、最適化する事のできる大きなインセンティブも動かせる、またとない状況下であっても、市場において破滅的な失敗または素晴らしいチャンスをものに出来る両方の可能性が常に存在します。

それら具体例を実際に挙げてみます。
一つ目は2008年の株価暴落です。当時、金融市場の連鎖的な混乱により経済は打撃を受け時価総額は破滅的状況となり、18カ月でダウ平均株価は50%以上も暴落しました。

二つ目に野球の例を挙げます。
長年に渡り蓄積された膨大で緻密なデータを、競争優位性を確立するために活用する野球は、典型的な分析型スポーツとも言えます。
しかし、標準的なメトリクスや数値解釈が見直され、革新的で効果的な分析が行われるようになり、チームに統計的な優位性をもたらすことのできるツールの一つとなったのは、90年代後半から2000年代前半に入ってからの事です。

では、研究開発、イノベーション、知的財産データと分析についての観点から考えてみましょう。
メトリクスや分析は、完全性、リソース、先進度のどの点においてもまだ成熟度には到達していません。つまり、そこにはまだ「宝の山」が潜んでいるという事になります。収穫逓減(しゅうかくていげん)はまだ先のことであり、このままでも十分だと思うことは致命的なミスとなる可能性を含んでいます。
既存データ活用と内外データ分析の組み合わせを創造的に行えて、研究開発と知的財産をビジネス目標に合わせて革新的に改善できる企業が、競争優位性を持つチャンスを見いだす様になる事でしょう。

昨今、平均的な事業価値の8割以上を無形資産が占めるとされていますが、多くの企業は所有する知的財産の価値を把握しきれていません。また、投資家にもそれら価値を十分に伝えきれていません。
2012年5月のGoogleによるモトローラ買収は、「無形資産」(貸借対照表内の特許や商標)の価値を伝え周知することの難しさを物語っています:

Google貸借対照表・無形資産 (百万):
2013年度末 $6,066
2012年度末 $7,473
2011年度末 $1,578
Motorola貸借対照表・無形資産 (百万):
2012年度末 $109
2011年度末 $48 (減価償却累計純額 $1,114)

2012年5月22日、Googleは総額およそ$124億(現金$29億、特許と開発技術$55億、営業権$25億、顧客価値$7億、その他純資産の取得額$8億円)でモトローラを買収しました。

貸借対照表の記録からGoogleに何が起こったかは明白ですが、モトローラへの影響は定かではありません。モートローラ買収によりGoogleの「無形資産」が400%増になったとは考えられません。
買収を行う前のGoogleの貸借対照表には無形資産が表示されていませんでした。
買収によりモトローラの貸借対照表内の無形資産額と、Googleの貸借対照表の変化に大きなズレが生じたことは、容易に予想できます。

実際のところ、GAAP (米国会計基準)の規則に従った標準貸借対照表では知的財産は十分にかつ適切に価値が反映されていることは少なく、買収で取得したものでもない限り、対照表からは除外されてしまう場合が多数となります。つまり、貸借対照表の観点では、内部で生成された無形資産の価値はほぼゼロとされてしまっているのです。この会計基準は国際基準には準拠しているため、企業が個別に基準を曲げて対応をせまられる類のものでもありません。

しかし、取締役や経営責任者、会社幹部にはこれらの資産を理解し、効果的に周知する義務があります。優秀な経営責任者であれば、会社の知的財産を把握し続ける事で次の7つの質問に答えられなければなりません:

  1. 現在そして未来において競争に打ち勝つために、研究開発と知的財産の開拓に十分
    な投資をしているか?

    企業は十分な投資によって新製品の研究開発を拡充し、知財の権利化や保護を通して投資収益率を最大化する必要があります。イノベーションのペースが刻一刻と早まる中、経営幹部や取締役は、壊滅的で最悪な潜在的リスクと創発のチャンス、両方を意識する必要があります。
  2. 自社知的財産の価値と、それがどのように損益計算書(P&L)に影響を与えるかを理解しているか?
    知的財産管理は事業計画および戦略と同調し、それら計画や戦略に対して不可欠で厳密に計画されたものでなければなりません。知的財産が財務諸表やその他の指標と密接した関係を保てるものである程、事業計画や戦略との繋がりや関連性が優れたものとなります。
  3. グローバルな競争に通用する強力な知財戦略があるか?
    そしてそれを株主や市場に明示し価値を高める事が出来ているだろうか?

    整合のとれた知財戦略を持つ事によって、知財の識別、保護、管理のために合理化されたプロセスの確立が可能になります。また、株主還元の潜在価値を解放することにも繋がります。
  4. これらの重要な資産が貸借対照表に取り込まれていない場合、投資家は株価計算にそれらを考慮すべきか?
    それともすでにそれらがP&Lに含まれていると仮定すべきか?

    知財資産は企業価値の重要な部分を占めるため、企業はアナリストや株主、存在的な投資家に知的財産の重要性と価値を伝える必要があります。イノベーションと知的財産の優良性が評価に織り込まれていない場合、経営幹部は株主を裏切る事にもなりかねません。
  5. リスクとチャンスが複雑に交錯する知財業界で素早く対応(そして計画を周知)する準備は整っているか?
    知的財産を管理するツールや技術は常に進化し続けています。
    その進化に遅れをとらない為には、知財計画と優先順位を毎年再考する必要があります。自社の製品と知財エコシステムをリアルタイムで監視し、それらを十分に把握して活用するには、将来を見据えた知財管理計画が必要となります。
  6. 買収戦略において知的財産をどのように評価するか?
    知的財産価値と事業戦略の整合をとる体系的なアプローチと方法論を持つ事は、買収戦略をいかに効果的に指揮できるか、という事に影響を及ぼします。
  7. 自社の製品ロードマップ(将来計画)に知的財産ロードマップと財務予測が考慮されているか?
    製品ロードマップ(将来計画)と製品パイプラインがあらゆる企業のビジネス活動源であるのと同様に、それら製品に関連する知的財産の「ロードマップ(将来計画)」
    も市場における競争優位性を高める原動力である必要があります。粗悪品は売れないが、良品は売れる。つまり、知的財産の活用・保護を起因の一つとする製品優位性が、ビジネスの持続性と収益性を推進するのです。

As CTO, Erik Reeves leads Anaqua's technology strategy and long-term plan for integrated IP software and services platform. He oversees the development of the Anaqua, IdeaPoint, and AcclaimIP innovation platforms and their integration, including infusing data intelligence through all software solutions and services. Prior to joining Anaqua, Erik had over a decade of experience in the IP and Innovation field, and he is a recognized thought leader on Patent Search & Patent Landscaping, IP Ecosystem Modeling and Big Data Strategy.