1000万件目の特許予測

水曜日, 5月 2, 2018
マット・トロイヤー / 特許分析ディレクター
ディビッド・アイザックソン / プロダクト・マーケティング・ディレクター
共著

イノベーション。それはアメリカが建国されて以来、この国の生命線とされてきました。イノベーションの力を認めた米国の建国の父達が1790年に設立した特許庁は、以来200年以上にわたり発明者支援の最前線に立ってきました。
近年、発明のペースは確実に速まっており、現在は1000万件目の特許付与が目前に迫っています。特許付与が最初の100万件に達するまでには約100年を要しましたが、それ以降の件数は図1に示すように急激な増加を遂げています。

USPTO(アメリカ特許商標庁)が900万件目の特許を付与したのはわずか3年前です。そして、1100万件目の特許も、今から約3年後には付与されることになるでしょう。特許には、くだらないものから本当の意味で発明であり素晴らしいものまで数々ありますが、ここでは1000万件目という記念すべき節目に焦点を当ててみましょう。これは並々ならぬ偉業であり、USPTOでは1000万件に至る特許の歴史を辿る特別サイトまで公開しました (https://10millionpatents.uspto.gov/)。

Acceleration of Patent Grants by USPTO

USPTOは1000万件目の特許は今年の夏ごろ付与されると示唆しています。当社ではさらにその出来事に迫り、付与日を絞り込んで、現在出願されているどの案件がその栄誉を担うことになるか予測を立てました。特許の動向やその他数々の要因を分析し、栄光を手にする可能性が最も高い候補を1つ選び出しています。

予測1: 1000万件目の特許付与は2018年6月19日

最も簡単なのはこの予測でしょう。USPTOが毎週火曜日に新特許に関する情報を発表するのは周知の事実です。そこでAcclaimIPを使用して今年1月以降の動向を追跡した結果、USPTOの週平均付与数は5,920件であることが判明しました。図2に2018年4月24日までの付与実績と6月までの予測を示しています。

Grants per Week

予測2: 1000万件目の特許付与はアメリカ企業のアメリカ人 (アメリカ国籍) の発明者

USPTOでは国籍に関係なくあらゆる出願者に特許を付与しますが、1000万件目の特許は、無差別に付与するには余りにも重要な数字です。そこで当社では、アメリカのイノベーションを称えるために、アメリカの企業がこの特許を受けることになるのではないかと予測します。特許1000万件目に関するUSPTOのサイトでも、歴史的に重要なマイルストーンとして描かれている技術革新は、アメリカのものに限られています。

予測3: その特許はコミュニケーション技術に関連している

次に、1000万件目として付与される特許を特定するための様々な要因を見ていきましょう。

過去20年間で最多の特許が付与されているのは、電子通信技術の分野 (クラスH04) です (複数の分類や分野にまたがる特許は少なくありませんが、最も多くの特許がH04を分類の冒頭に記載しています)。また、歴史的 (少なくとも1790年以降) に見ても、電子通信技術は2番目に多く特許が付与されている分野です。
さらに、過去の6月19日に起きた重要な出来事を調べると、1934年6月19日に米国連邦通信委員会 (FCC) が設立されたという事実に辿り着きます。FCCはこの日に設立84周年を迎えるのです。

予測4: 1000万件目の特許付与は5G技術に関連している

5Gは今後10年間の私たちの生活を左右する重要な技術のトップに挙げられます。この飛躍的な技術により世界中のワイヤレスネットワークが強化され、今日の4G技術から大きくステップアップをすることでしょう。

予測5: 1000万件目の特許付与は発明分野の女性を称えて女性技術者となる

今年の世界知的財産の日は、イノベーションとクリエイティビティの分野で活躍する女性を主役に称えました。栄えある1000万件目の特許は、USPTOがこのトピックに焦点を当て、STEM分野 (科学、技術、工学、数学) での若い女性の活躍を後押しするのにうってつけの機会です。
予測の3~5には、もう一つの重要な要因があります。6 月19日は、FCCの設立日であると同時に、1926年生まれで今年92歳になるErna Schneider Hooverの誕生日でもあるのです。Erna Schneider Hooverは、ウェルズリー大学とイェール大学を卒業後AT&Tのベル研究所に勤務し、ソフトウェアに関する最も初期の特許を得た一人です (US3,623,007)。その特許は電話交換システムに関するもので、その原則の一部は現在でも使用されています。Hooverについての詳細はこちら:https://en.wikipedia.org/wiki/Erna_Schneider_Hoover

最終予測へ向かう前に

さて、以上の予測を踏まえて誰に栄光の特許が付与されるのかを明らかにする前に、幸運な出願者を占うためにアナクアが使用した方法をご説明しましょう。
まず、特許許可通知 (NOA) は既に発行済のはずのため、5G技術の属するクラスH04の出願案件のうちで、既にNOAがあるものの、まだ発行手数料が支払われていない (支払は5月9日前後となるであろう) ものに絞られます。

当社では、この記事の執筆時点で、以下の条件を満たす案件を268件見つけました。

  • アメリカの主要企業である
  • クラスH04 (冒頭に記載) である
  • 5G技術に関連している
  • NOAが発行済である
  • 発行手数料は未払 (または2018年5月9日前後に支払予定) である
  • この名誉を受けるに相応しい多数特許の発明者である

予測6: アメリカ特許商標庁は1000万件目の特許をQualcommのApplication 13/666670 – SEARCH SPACE DESIGN FOR E-PDCCH IN WIRELESS COMMUNICATION NETWORKSに付与する

USPTOとしては、極めて妥当で、かつ究極的には将来の5Gワイヤレス技術に重要な役割を果たすものとなるような特許を選ぶ事となるでしょう。この特許は、将来PTABや連邦巡回控訴裁判所の審査にしっかりと耐え得るものであり、最終的には様々な製品に採用されるような、秀でた技術に基づくものでなければなりません。また、多くの発明を世に送り出した個人や人々のものである必要もあります。
AT&Tからは6月19日に付与予定の5G案件が数件出願されています。それらは1000万件目としては恰好な案件ですが、社内出願のため今回の予測からは外しました。というのも、USPTOは、特許所有者であるとともに法律事務所の顧客である出願者に今回の名誉を与えようとしている部分があるためです。

では、なぜQualcommなのでしょうか?Qualcommの出願案件には発明者として女性1名を含む5名が記載されていますが、その全員が合計で何千もの特許を所有し、さらには共同で13件の特許出願を行っている、テレコム業界きっての発明者集団なのです。以下がその発明者名、所在地、個別の公開特許出願の数です。

Wanshi Chen (San Diego, CA) (925 unique US filings)
Tao Luo (San Diego, CA) (789 unique US filings)
Jelena Damnjanovic (San Diego, CA) (215 unique US filings)
Peter Gaal (San Diego, CA) (1047 unique US filings)
Juan Montojo (Nuremberg, DE) (579 unique US filings)

さらにこの案件は、出願中に4回のオフィスアクションを受けて精査され、Google、Avago、LG、Blackberryを相手に自明性の議論を克服しています。その上、審査官もNatali Pascual Pegueroという名の女性で、1000万件目の特許が女性審査官の功労を称えることにもなります。

こうした様々な条件を備えたこの案件は、1000万件目の特許となる強力な候補であると、アナクアは予測しています。なお、分析にはANAQUAのAcclaimIPを、過去の6月19日に起きた重大イベントを探すために Googleと Wikipediaを使用しました。

さて、皆さまはどうお考えでしょうか。ぜひ1000万件目の特許予測を考えてみて下さい。