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アナクアによる2023年USPTO特許分析

特許管理
Tags: AQX知財総合管理ソリューション, PATTSY WAVE (パッツィウェーブ), AQX 特許事務所ソリューション

米国特許権利化数、昨年の大幅な減少後2023年堅調な推移へ移行

このブログではAnaquaのAcclaimIP 特許分析ソフトウエアを使用して作成されたUSPTO(米国特許商標庁)特許統計の年次分析結果を説明しています。分析の結果、2022年12月1日から2023年11月30日までの期間の米国特許権利化数は、前年の34万7,408件に比べて1パーセントの半数の増加となる、34万8,774件となりました。米国の特許権利化数がここ10年以上で最も急激な減少となった昨年の前年比8%の減少を考えると、この変移は業界にとって歓迎すべきニュースであると言えるでしょう。

2023年の米国特許権利化数は2019年以前の水準を上回り、米国を拠点とする企業そしてグローバル企業の両方で継続的かつ健全なレベルのイノベーションが続いていることが示されています。

さらにデータを調査すると、権利付与された米国特許の総数(162,557件)の内訳は米国に本拠を置く企業が最も多く、2022年から18%増加しています。一方、アジア地域の企業が引き続き米国の特許権利付与上位5カ国に多く含まれています。2位は日本(40,960件)、次いで中国(28,979件)、韓国(24,073件)の構成となりました。5位はヨーロッパの主要国であるドイツで、権利付与件数は13,905件となりました。

2023 USPTO Statistics

クリックしてUSPTO統計分析インフォグラフィックを拡大表示

権利付与された特許にもとづく革新的な企業

権利付与された特許の数から割り出された最も革新的な企業については、2023年に上位5社圏内に変化が見られました。前年、サムスン電子が9,290件の特許を取得し、首位を獲得しました。2023年もサムスンは米国特許権利付与1万0043件で首位の座を維持し、件数は前年から8.1%の増加となりました。

過去5年間のサムスンの権利化技術上位5分野には、データインデックススキーム、電子広告技術、再生可能エネルギー生成関連エレクトロニクス、有機電気固体デバイス、および複数半導体製造技術が含まれていました。同社の権利化技術における前年比増加率上位5分野には、コンピュータ出力装置、有機電気固体デバイス、有機発光デバイス、制御回路、および共通基板複数半導体装置が含まれていました。

権利化された特許数の面から、下記の企業がサムスン電子に続き革新的企業として挙げられます:

  • IBM (4,003件:前年5位からの上昇)
  • Qualcomm (3,852件:前年7位からの上昇)
  • Taiwan Semiconductor Manufacturing Company (3,442件:前年8位からの上昇)
  • LG Corp (3,319件:前年2位からの下降)

特許権利化に基づく上位技術分野

最も多く権利化された特許に基づいて2023年の上位技術分野を調査すると、半導体テクノロジーが2年連続で首位を維持し、仮想現実、5G、人工知能(AI)、不正ユーザー検出に関連するソフトウエアテクノロジーがそれに続きました。これら上位5分野は前年と変化はありませんでした。

2023年の半導体イノベーションは世界中で大きく成長し続け、5Gイノベーションの増加によりさらに成長が促進されたと考えられます。このイノベーション分野における米国特許権利化数は、2022年から2023年にかけて4%増加しています。

仮想現実(VR)は、ここ数年、特に 2022 年のメタバースの台頭とともに頻繁に議論されてきたイノベーションです。VR関連の特許権利化数が増加しましたが、これはおそらく2017年近辺に申請された多くの特許出願から実現したものと思われます。前年、米国では 2017年に初期発明ファミリの申請日 (つまり優先日) が設定されたVR関連の米国特許権利化が300件を超えましたが、今年は同年に優先権が設定された特許の権利化が150件以上ありました。

また、2023年の米国特許権利化でAIに特化した発明分野の上位には、機械学習モデル、一般的なニューラルネットワーク開発、ニューラルネットワーク結合技術、画像およびビデオ認識用のニューラルネットワーク、バックプロパゲーションプロセスを使用したニューラルネットワークトレーニングが含まれていました。

2023年にAI関連の米国特許を取得した上位の権利人企業は次のとおりです:

  • IBM
  • Samsung Electronics
  • Alphabet
  • Microsoft
  • Amazon

その他技術

技術分野の上位10分野には他に、プログラム制御ユニット、医療関連、無線(ワイヤレス)、化学および化学関連、ネットワークセキュリティ技術が含まれていました。注目すべきは、2023年は化学および化学関連技術が初めて上位10分野内にランクインし、電気自動車関連技術が上位10分野から外れたことです。

まとめ

USPTOレポートをもとにした分析によると2023年も米国特許権利化は安定しており、経済的な不確実性や変動にもかかわらず、世界中の企業のイノベーション活動が

継続していることが示されました。

 

アナクア 分析ソリューション部門 ディレクター
シェイン・フィリップス(Shayne Phillips)著

本レポートのデータは、USPTOの公開特許情報を活用した特許検索・分析ソフトウエアツールである、AnaquaのAcclaimIPシステムによって分析されたものです。革新的な組織 (Innovative Companies) を決定するための指標には、2022年12月1日から2023年11月30日までの12カ月間に公開され、登録された特許出願数を使用しています。